まず押さえたいこと
修正の回数だけで、追加料金を請求できるかは決まりません。当初の約束に合うように直す作業なのか、新しい仕様や用途への変更なのかを、見積・仕様・やり取りから確認します。
最初に「何を完成させる約束だったか」を確認する
「修正は2回まで」と書かれていても、何を1回と数えるか、どの程度の修正を想定していたかで見方が変わります。回数の上限だけでなく、成果物、仕様、納期、確認の進め方、検収の条件を読み合わせます。
合意した仕様を満たしていない点の修正と、発注後に追加された機能・別用途のデータ作成は、分けて考える必要があります。相手が使う「修正」という言葉だけでなく、実際に求められている作業を具体的に書き出しましょう。
当初の合意と、後からの依頼を比較する
| 当初の約束 | 後からの依頼 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 指定された文言を掲載 | こちらの転記ミスの訂正 | 合意した内容に合わせるための修正か |
| 確定した構成で1ページ制作 | 構成を変え、ページを追加 | 変更に合意したか、費用と納期をどう扱うか |
| Web用画像を納品 | 印刷用データも追加で作成 | 元の仕様に含まれるか、別用途への対応か |
| 修正回数・範囲の記載なし | 何度も方向性の変更 | 提案・確認時のやり取りから範囲を説明できるか |
上の表は切り分けのための想定例で、追加料金の発生を判定する表ではありません。元の仕様、変更への合意、すでにした返答などによって結論が変わります。
- 当初の見積書・仕様書・提案書と、その承諾の記録
- 修正の依頼日、内容、対応した作業を並べた一覧
- 費用・納期を相談したメールやチャット
- 相手の確認・承認・検収に関する記録
フリーランス法の「やり直し」と、追加料金の合意
フリーランス法では、一定の取引について、受注者に責任がないのに費用を負担せずに内容を変更させたり、受領後にやり直させたりして、受注者の利益を不当に害することが禁止されています。第5条は、従業員を使用しないなどの要件を満たすフリーランスに、従業員を使用する事業者や役員が2人以上いる法人などが、1か月以上の業務委託をする場合が対象です。更新や基本契約を含む期間の捉え方も確認します。[1][2][3]
一方、公正取引委員会のQ&Aでは、受領前の成果物が契約内容に合っていないと合理的に認められ、契約に沿うよう是正を求める場合などを区別しています。「何度も修正を頼まれた」だけで、直ちに違反と決まるわけではありません。[2]
法律上問題のある依頼かという検討と、契約上いくらの追加報酬を求められるかという検討も別です。どの作業について、どのような追加費用の合意があるかを確かめます。1か月以上という要件を満たさない取引でも、契約上の追加報酬の合意などを検討する余地はあります。
追加対応の前に、範囲・費用・納期を言葉にする
追加作業と考えている場合は、元の見積に含めていた範囲、今回新たに必要となる作業、追加費用と納期の案を分けて伝える方法が考えられます。相手の認識を確かめ、回答を記録に残しておくと、条件が曖昧なまま作業が広がるのを防ぎやすくなります。
伝え方の方向性(想定例)
「当初のお見積りではAまでを想定していました。今回のBへの変更は、追加作業と納期の調整が必要と考えています。作業範囲と費用を確認させてください。」
この表現は、追加料金の請求が法的に認められることを保証するものではありません。すでに対応を約束している場合、納期が迫っている場合、相手がこちらの不備を指摘している場合には、契約と経緯に応じた検討が必要です。作業を止めたり契約を終えたりする判断は、別の責任問題にも関わります。
法律相談では、料金内の修正と追加の変更を区別する資料を確認し、相手に何を確認し、どの条件を提案するかを一緒に整理します。
参照した法令・公的資料
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律2条・5条(別タブで開きます)
当事者の定義と、不当な給付内容の変更・やり直しの禁止。
- 公正取引委員会「フリーランス法 Q&A」Q60・Q61・Q64・Q82(別タブで開きます)
対象となる期間・基本契約・更新と、受注者に責任がある場合などの区別。
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令1条(別タブで開きます)
法5条の対象となる業務委託の期間(1か月)。
法令・資料の確認日:2026年10月11日。制度の適用や対応は、契約の内容・取引の実態によって異なります。
この記事は一般的なご案内です。個別の案件の結論や、特定の結果を保証するものではありません。