まず押さえたいこと
自分で制作したことだけで、自由に公開できるとは限りません。著作権を譲渡していても実績掲載の許諾がある場合があり、反対に著作権が自分に残っていても秘密保持の約束が問題になる場合があります。権利と契約の両方を確認します。
「制作した人」と「利用を決められる人」を確かめる
著作権の譲渡と、作品を使うことを認める利用許諾は異なります。契約で著作権を譲渡している場合は、原則として自分で作った作品でも自由に利用できなくなるため、譲渡した権利の範囲と、実績掲載の許諾を確認します。[1][2]
ポートフォリオ用のデータに複製したり、Webサイト・SNSへ掲載したりする行為は、複製権や公衆送信権に関わります。著作者人格権が譲渡できないことと、譲渡後も作品を自由に利用できることは別です。[1]
なお、権利が譲渡されていても、実績紹介としての利用があらかじめ認められていることがあります。新たに許可を求める必要があるかも、その合意の内容と掲載方法によって変わります。
権利・許諾・秘密保持・公開時期を分けて確認する
| 確認する項目 | 探す記載・記録 | 整理したいこと |
|---|---|---|
| 著作権の帰属 | 譲渡・利用許諾の条項、権利が移る時期 | どの作品の、どの権利が誰にあるか |
| 実績掲載の許諾 | 実績紹介の条項、個別の許可メール | 媒体、掲載部分、加工の可否、表示する名称 |
| 秘密保持 | 秘密保持契約、非公開情報の定義 | 成果物以外に、取引や制作過程も対象か |
| 公開時期 | 解禁日、事前確認、公開後の取扱い | 先方の公開後でも事前確認が必要か |
| 第三者の素材・情報 | 写真・フォント・素材の利用条件など | 人物、顧客情報、共同制作者の権利が含まれないか |
契約書が複数ある場合は、発注書だけでなく基本契約や秘密保持契約も確認します。先方がすでにWebで公開していることだけで、自分のサイトに転載してよいとは決まりません。[2]
想定例:掲載は認められているが、条件がある場合
想定例:自分のWebサイトでの実績紹介が認められている
契約には実績紹介のための掲載を認める条項がありますが、今回はSNSへの投稿や、制作途中の案も載せたいと考えています。
この場合は、既存の許諾がSNSや未採用案まで含むかを確認します。完成品の掲載が認められていても、制作過程や取引先の内部情報まで同じように扱えるとは限りません。公開する画像と説明文を具体的に示して確認する方法が考えられます。
また、著作権法には引用などの例外がありますが、作品を紹介する目的であれば常に引用になるわけではありません。文化庁のFAQも、ポートフォリオへの掲載が引用に当たるかは、個別の状況に応じて慎重に判断する必要があるとしています。[2]
上記は架空の想定例です。個別の掲載許諾や公開の適法性を判断したものではありません。
相談前に「何を、どこで、いつ公開したいか」を整理する
- 契約書、秘密保持契約、掲載許可のやり取りを用意する
- 載せたい画像・動画・文章と、表示したい取引先名を整理する
- 自分のWebサイト・SNS・営業資料など、使用する媒体を決める
- 公開希望日、先方の公開状況、第三者の素材の有無を確認する
法律相談では、契約の条項と公開予定の内容を読み合わせ、既存の許諾で足りるか、追加で確認すべき相手・内容があるかを検討します。掲載許諾の取り付けや契約文案の作成、相手との代理交渉をご希望の場合は、対応範囲と費用を別途ご案内します。
すでに掲載していて相手から指摘を受けている場合は、掲載した内容・時期と、相手からの連絡も整理してください。
参照した法令・公的資料
- 著作権法21条・23条・59条・61条・63条(別タブで開きます)
複製・公衆送信、著作者人格権、著作権の譲渡と利用許諾。引用については32条・48条も参照。
- 文化庁「文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問」5-⑬(別タブで開きます)
ポートフォリオへの実績掲載。FAQの基準時点に留意し、関係条文を併せて確認。
法令・資料の確認日:2026年10月11日。制度の適用や対応は、契約の内容・取引の実態によって異なります。
この記事は一般的なご案内です。個別の案件の結論や、特定の結果を保証するものではありません。